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マッドリブがアルバム”Bandana”の全曲をiPadで制作した事について考えてみる

   

アンダーグラウンド・シーンで絶大な支持を得ているビート・メイカーMadlib(マッドリブ)が、ラッパーFreddie Gibbs(フレディー・ギブス)とのアルバム『Bandana』をリリースし、現在これが話題を呼んでいる。

なんと、マッドリブがアルバムの全曲をiPadのみで制作したとツイートしたのだ。

I made all of the beats for Bandana on my iPad

(アルバム『Bandana』の全てのビートはiPadで制作した)

Some of these niggas mad lmao. I’m gonna keep making good music I like. I’m gonna keep doin my thing till i’m 90. i’m gonna keep getting better. That iPad remark was just to say stop making excuses – use a tape deck if necessary. Technology is what you make it.

(怒っている奴らがいるようだな(笑)。俺は自分の好きなように良い音楽を作り続ける。90歳まで続けるつもりさ。成長し続けるんだ。このiPadで言いたかったのは、言い訳をしないで欲しかったんだ。必要であればテープデッキを使えばいい。テクノロジー(機器)はお前がどうするかだ。)

Hip Hopシーンでトラックメイキングと言えば、サンプラーAKAI/MPCが定番だろう。またE-mu/SP-1200Ensoniq/ASR-10などは名機として、80〜90年代の著名なビートメイカーが必ずといっていいほどその名を挙げていた。2000年になると、シンセサイザーKorg/Tritonのサウンドが大流行、この頃からHip Hop=サンプリングという方程式が崩れ始めた時期であった。その後、コンピューターが発展していくと、レコーディング・スタジオでしか使用できなかったPro Toolsシステムが、自宅のコンピューターにインストール出来ることになった。また、LogicやCubase、Ableton LiveなどのDAWソフトも同様に比較的お手軽に入手できるようになった為、トラックメイキングはDTMと移行していく。

しかし、これらを用意するにはサンプラーだけでも10万〜20万、サウンド・ソースとして使用するシンセサイザーやDTM音源も数万円、ミクシングはMacbook Proにと考えれば、よりハイスペックな物が必要なので20万以上、そしてDAWソフト、ヘッドフォン(Sony/MDR-900ST)、モニタリング・スピーカー(Genelec)・・・と必要な機材だけでも高額な費用がかかってしまう。

しかし、ここまで揃えれば、最高な音楽が作れるのか?

そうではないですよね。やはり、その人のセンス次第というわけです。

マッドリブは15年くらい前に、ビートメイキングはRoland/SP-303だけを使用していると伝えていた。このSP-303と言えばは、レゲエ・セレクターには大定番のサンプリングマシーンだ。ホーンやレーザー音などを鳴らすために現場で使用されていたのだが、この機器にはサンプリング機能やエフェクト機能の他に、シーケンサーとしても使用できるものだった。とは言っても、MPCに比べるとチープなものであり、これで制作するぞ!という気にはならないかもしれない。多くの人はMPCなどを使用している中、彼は当時価格が3万円ほどの簡易サンプラーSP-303を使って制作していたのだ。

このことを考えると、今回のiPadを使用したビートメイキングは驚くべきことではないかもしれない。iPadはSP-303に比べると機能も充実している。

また、iPadを使用したビートメイキングはマッドリブだけではない。マニー・フレッシュは2チェインズの「Used 2」をiPadで制作したと伝えている。ソウルバンドのジ・インターネットのスティーブ・レイシーは、ケンドリック・ラマーの「PRIDE.」の自身のレコーディングをiPhoneで行ったという話もある。

テクノロジーが進化していく中で、音楽を制作することは比較的手軽に出来るようになった。音質的なものを除いては、自身が今持っている機器で、できるのではないだろうか?まずは、そこに向き合うかどうかであり、最終的にはその人のセンスだろうと考える。

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